家賃の時効に関するQ&A

最終更新日:2025年01月07日

Q長年未払いになっている家賃があるのですが、時効援用できますか?

A

 消滅時効が完成するまでの期間が経過している家賃であれば、消滅時効の援用をすることができます。

 貸主が借主に対して家賃の支払いを求めることができる権利も「債権」であることから、消滅時効が成立した場合には、時効援用によって消滅します。

 消滅時効が完成する期間は、債権者が権利を行使することができることを知った時(主観的起算点)から5年間、または債権者が権利を行使することができる時(客観的起算点)から10年間と定められています。

 令和2年4月1日に改正される前の民法においては、原則として10年、商人が業として貸していた場合は5年です。

Q家賃の時効のカウントはいつから始まりますか?

A

 一般的に、家賃は毎月支払日が決められています。

 この場合には、各月の家賃支払日の翌日から消滅時効のカウントがなされます。

 一点留意すべきこととして、家賃の消滅時効の完成は、支払日が訪れている月ごとに分けて考える必要があるという点です。

 例えば、2024年3月31日の支払期日以降、ずっと家賃を滞納している場合で考えてみます。

 2024年3月31日支払期日の家賃については、同年4月1日から5年後の2029年3月31日を経過したときに時効によって消滅します。

 そして、2024年4月30日支払期日の家賃については、同年5月1日から5年後の2029年4月30日を経過したときに時効によって消滅します。

 5年間ずっと家賃を滞納していたからといって、滞納していた家賃が一度にすべて時効によって消滅するわけではありません。

Q家賃の時効援用をするデメリットはありますか?

A

 消滅時効が完成している限り、基本的に家賃の時効を援用することについてのデメリットはありません。

Q家賃の時効援用をする場合、注意すべきことはありますか?

A

 まず、消滅時効の援用の対象とする家賃をしっかり特定することが大切です。

 先ほど説明しましたとおり、家賃は多くの場合、月ごとに時効によって消滅していきます。

 そのため、どの期間の家賃が時効によって消滅しているかを明確に主張する必要があります。

 また、少額でも家賃の一部としてお金を支払った場合、貸主側は滞納されている家賃のうち、最も古い家賃に充当をしていきます。

 その結果、最も古い家賃については債務の承認がなされたことになり、消滅時効の援用をすることができなくなります。

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